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North Star Metricのメモ

こんにちは。asatoです。

巷で話題のNorth Star Metric(NSM)を調べたので、メモりますφ(・

NSMって何?

NSMはプロダクトマネジメントの文脈でしばしばお見かけします。 かっちりとして定義はないのかなーと思いますが、色々調べた結果、僕の中では

プロダクトの成功と成長を示す単一のシンプルな指標

ですね。

書籍やブログでもさまざま紹介されていますので、スッと入ってくる言葉を見つけてくださいmm このあたりを参考にしました。


プロダクトのコアとなる価値がユーザーに届いているかを知る、単一の指標
事業が長期的に成長しているかどうかを図る、経営・プロダクト両面で重要な指標

The North Star Metric is the single metric that best captures the core value that your product delivers to customers.

North Star Metricはあなたのプロダクトが顧客に提供しているコアの価値を最も表している単一の指標です。


The heart of the North Star Framework is the North Star Metric, a single critical rate, count, or ratio that represents your product strategy.

North Star MetricはNorth Star Frameworkの中心であり、あなたのプロダクトの戦略を表す単一の重要な割合や回数、比率です。
(The North Star Metric) is a leading indicator that defines the relationship between the customer problems that the product team is trying to solve and sustainable, long-term business results.

North Star Metricは、プロダクトチームが解決しようとしている顧客の課題と、持続可能で長期的なビジネスの成果の間の関係を定義する先行指標です。

和訳はノリで失礼しますが、「ビジネス(戦略)とプロダクト(価値)」や「単一」、「長期的」などのキーワードがありますね。

例えば何?

海外の事例ですが、こんな感じでNSMを定義しているらしいです。

  • Airbnb:予約された宿泊日数
  • Netflix:月間視聴時間の中央値
  • Zoom:週あたりのホストされたミーティング数
  • Slack:Organization内のメッセージ数
  • Salesforce:アカウントあたりの作成レコード数
  • Shopify:店舗あたりの売上合計額
  • Uber:旅の数(乗車数)

これらのNSMは各プロダクトのコアの価値が届いているかを測っていると同時に、収益にも影響があることがわかります。
AirbnbUberのようなC2Cプラットフォームの例はめちゃくちゃわかりやすいですね。
他の例もプロダクトの定着を測っているので、継続利用、アップセル/クロスセル、ユーザーの紹介につながりますよね。

そういえば「みてね」は「家族のつながり率」を大切な指標にしているというお話がめちゃよかった。

なにが期待できるの?

NSMを見つけることで期待できる効果は

  1. プロダクトが成功しているかどうかをチーム全員が共通認識できる
  2. プロダクトの成長に関する意思決定をチーム全員で納得感をもって実施できる

ことです。

このあたりはまず「単一のシンプルな指標」であることが鍵ですね。 同じ人は一人としていないわけで、人が違えば気にするポイントも千差万別です。チームやコミュニティが大きくなればなるほど、知っていること、思惑、背景も違ってきます。その中で全員が集中する「単一のシンプルな指標」があれば共通認識納得感が生まれやすくなります。

NSMはさらに「プロダクトの成功と成長の指標」であるので、「プロダクトの成功度」を共通理解したり、「プロダクトの方向性」の認識合わせを容易にしてくれます。


同じように成功の共通認識や意思決定の軸になってくれるものに「KPIツリー」や「MVV」があります。NSMはこれらに取って代わるものかというと、共存させるものです。

KPIツリーはKGI(Key Goal Indicator)をトップに据えて、その結果に影響を与える主要な要素であるKPI(Key Performance Indicator)をツリー状に表したものです。要素間の関係を可視化することで共通認識を与え、数値を可視化して意思決定の軸に使えるわけですね。
ただし、KGIは収益が置かれることが多いです。これではプロダクトに集中したアイデアを出しにくいかもしれません。 特に最近は、「プロダクト主導」という言葉をよく目にします。プロダクト主導で行くためにはプロダクトに集中した共通認識と意思決定を行いたい。というわけでKPIツリーだけではなくNSMを共存させるわけです。

MVV(Mission / Vision / Value)は、その会社のミッションやビジョンといった最終的な目的と、それを実現するための価値基準を定義しているものです。あるミッション/ビジョンをもった会社のプロダクトは、もちろんこのミッション/ビジョンを実現するものであるはずです。
ですが実際はミッション/ビジョンはかなり未来の世界を描いている必要があるので、ミッション/ビジョンが直接的にプロダクトの共通認識や意思決定の支援することは難しかったりします。ミッション/ビジョンとプロダクトの間をつなぐ役目としてもNSMは機能します。

最終的に、NSMとKPIツリー、MVVは以下のような連携しているイメージなんじゃないかと思います。

NSMの位置づけ
NSMの位置づけ

どう見つけるの?

色々と調べましたが、コアの価値が届いていることを測れる指標のうち、収益の先行指標になるものを選ぶのがよいなと思いました。 まー結局NSMも定めてみて見直して改善していくものになるので、最初はサクッとおけるのがいいのではないでしょうか。

特定のやり方としては以下のドキュメントがめちゃくちゃまとまっていました。

North Star Playbook - Amplitude

かなり量があるので「ウッ」となるかもしれませんが、さわりとしてはこちらのスライドがまとまっている。

「自分たちが参加しているゲーム」を特定することでNSMのカテゴリを特定するやり方です。

  1. Attention型:滞在時間やコンテンツ消費がキー(例:FacebookNetflix
  2. Transaction型:取引の数がキー(例:AirbnbAmazon
  3. Productivity型:タスクの実行数、効率性がキー(例:Salesforce、Slack)

また、「North Star Playbook - Amplitude」で紹介されている「よいNSMのチェックリスト」も参考になります。

□ 価値を表現している
□ ビジョンと戦略を表現している
□ 成功の先行指標である
□ 行動に移せる
□ 計測できる
□ 誰にとっても理解しやすい
□ 耳障りのいいだけではない

最後がスパイシーでいいですね。

他にも「Choosing Your North Star Metric | Future」では、ジョブ理論からNSMを見つけることに言及がありましたね。

やってみてどう?

ということでプライベートのプロダクトで恐縮ですが、友人と作っているspaces.bzでNSMを運用してみました。

このプロダクトの主要な機能は、開催中/開催前のTwitter Spacesを人気順、キーワード、フィルターなどで検索できることです。

「このプロダクトのコアの価値ってなんだろうねー」と友人と話していたところ、「面白いTwitter Spacesに出会えること」に至りました。そこからNSMを「面白いTwitter Spacesに出会えた数」と定義しました。これは具体的には「サイトからTwitter Spacesへのリンクのクリック数」でして、Google Analyticsを使ってこの数を計測しています。

NSMを特定することで僕たちの中に起きた変化は以下のとおりです。

○ 開発の優先順位がつけやすい、合意しやすい ○ うまくいっているか、簡単に判断できる&共通認識できる ○ 指標の確認が楽(最低1つを見ればいいだけなので)

ネガティブな印象は、今の所ないですねー。そして順調にNSMが向上していっている!!

プライベートなプロダクトで収益性をそこまで求めていなかったり、チームの人数も少ないのでって前提条件はありますが、共通認識の文脈ではより大きいチームで効果を発揮するんじゃないかと思っています。

まとめ

この記事では、North Star Metricについてまとめました。このメモが、誰かの役に立ったら嬉しいです。